Lonnie は、IP電話システムを2009年頃から Asterisk を使って構築・運用しています。
当時と比べて、現在の国内の IP電話を取り巻く環境は正直あまり変化(進化!?)しているとは言い難いです。もちろん、NTT が提供しているひかり電話は、IP電話サービスではありますが、自由度が低く従来の ISDN やアナログ電話線を用いた PSTN(Public Switched Telephone Networks:公衆交換電話網)の置き換えとして使われているような感じで、IP電話としての特徴を上手に活用できているとは言えません。
ひかり電話以外の IP電話サービスの導入をお考えの方に、10年近く IP電話を使ってきた経験から感想を書いてみます。
良かった点
10人以下の小規模の事務所であっても従来の電話システムであれば小型の PBX(ビジネスフォンの主装置のようなもの)が必要です。当然、電話機や電話用の配線、PBX の初期設定費等も発生します。
IP電話機はコンピュータ用のネットワークを利用しますので、電話用に別配線は不要です。また、電話機も一万円以下で販売されていますし、スマートフォンに IP電話用アプリをインストールすれば、ハードウェアとしての IP電話機も不要となります。
また、現在であれば IP電話用の PBX はクラウド上にあるサービスを利用することが多いので、ハードウェアとしての PBX は購入(またはリース・レンタル)する必要もありません。
つまり、初期導入費がとても安価という事です。
また、クラウド上に PBX が有る場合には、インターネットへ接続できる環境であれば、どこに IP電話機を持って行っても、何も設定変更無しで普通に使えます。例えば、事務所に置いてあるIP電話機を、自宅へ持ち帰り、自宅の LAN に接続すれば、内線通話はもちろん、外線の発着信も社内と全く同じように動作します。
スマートフォンに IP電話用アプリを入れておけば、国内はもちろんのこと、海外に居ても普通に使えます。つまり、インターネットにさえ繋がっていれば、世界中どこでも内線電話機が使えるという事です。
一般的に IP電話用アプリは、複数の PBX と接続する機能があるので、接続する PBX を切り替えることで、発信元番号を変更できますし、複数の外線番号(別会社や自宅等)からの着信も同じスマートフォンで受けることが出来るので、プライベート用や仕事用等に複数の携帯電話を持つ必要がなくなります。
※極端な話、IP電話をメインで使うのであれば音声通話機能は必要なく、データ通信専用の SIM を利用することで、毎月の利用費をとても安くすることができます。
このように使い方を工夫すると、会社支給の携帯電話の利用費・通信費を大幅に低減することができ、個人のスマートフォンに IP電話用アプリをインストールすれば、お仕事通話と個人通話を簡単に分離できるので、費用の請求に頭を悩ます事もなくなります。
このように IP電話は通話料金がお得!という話はよく聞きますが、そればかりではなく、運用の仕方によっては会社の通信費そのものを劇的に下げる事が可能です。
留意する点
もちろん IP電話システムは良いことばかりではありません。
インターネットを利用している限り、全てベストエフォートの世界ですので、安定性・信頼性については、従来の電話網やひかり電話等のキャリアが提供しているサービスにはかないません。
また、利用するIP電話サービスによっては110番通報等の緊急用電話が使えない場合もあります。
IP電話機や IP-PBX も海外の製品が主流で、電話機に表記されている文字は英語が殆どです。
※最近は、液晶ディスプレイに表示される言語を選択できることが多いので、日本語を選択できる場合もあります。
電話という仕組みは、コンピュータやインターネットよりも遥かに歴史が古いので、国によって微妙に使い方が違ったりします。
慣れの問題でもありますが、日本国内で一般的に使われているビジネスホンに慣れていると、IP電話の操作に最初は戸惑うかもしれません。
■以上、簡単に IP電話について書いてみました。従来の電話システムといろいろ違いがあるので、単純に比較はできませんが、IP電話の持つ柔軟性と拡張性はこれから更に進化していく事は間違いありません。ご興味が湧きましたら是非ご相談ください。御社に最適な IP電話システムをご提案できるよう親身に対応致します。